弊社に寄せられる裁判の鑑定依頼は増え続ける一方です。きっかけは弊社瑕疵検査の結果を知って判断されたり、以前から裁判をしていて鑑定書の作成を依頼されたり、弁護士に鑑定書の必要性をせがまれたり、更には和解や判決が出る寸前で釈然としない状況を感じて依頼してきたりと様々なパターンがあります。いずれにしても専門性の高い欠陥住宅裁判においては鑑定書が不可欠であり、論理的かつ法的な責任追及が必要となります。
鑑定書の内容は、瑕疵の原因を特定し、現在現れている現象との因果関係を証明することにあります。また同時に瑕疵にいたった背景や、責任関係なども要点となることがあるため、指摘していきます。
欠陥住宅問題において、業者側が裁判を起こす場合の理由は、下記理由しか考えられないものです。そう考えれば、消費者側が提訴することが自然であると考えられます。
1、金払え型
紛争になっている方の中で、最終残金の支払いを止めているとか、追加工事代金として請求されている金額を支払っていないといった状況はよくあることです。そのような場合に限り、瑕疵の有無は別として業者が提訴する理由になります。
2、不当要求型
瑕疵の存在とその損害程度や補修にかかる費用などを通告された業者が、債務不存在を理由に提訴する場合があります。どちらかと言うとあまり知識の無い小規模の会社に見られるパターンですが、墓穴を掘る場合がほとんどです。
欠陥住宅裁判は争点の絞り方が重要となります。争点を間違えてしまうと勝てる裁判も負けてしまうことになります。また争点は出来るだけ法的な部分で尚且つスケルトンに集中させることが望ましく、表面的且つ主観的な部分はなるべく避けることがポイントです。
争点の絞り方で良くないパターンを紹介します。
1、現象裁判
素人の方が建築士などの専門家を付けずに裁判を起こした場合に陥り易いパターンです。現象裁判とは、雨が漏れている、カビが生えている、またひびや隙間があるなどの見た目でも分かりやすい(マスコミがよろこぶ)現象の発生を羅列して、何十項目や何百項目も並べて争うといった状況を言います。確かに現象の酷さのみを考えれば弁護士を含め、裁判官などの訴訟関係者を説得し同情させることが出来るのでは、と考えがちですが、原因(瑕疵)となるべき事実を突きつけない限り、苦しい戦いになることが予測されます。また小さい事象までも羅列してしまえば、訴訟関係者から「クレーマー」と思われたりすることもあり、不利な立場になってしまうこともあります。
逆に考えれば原因が特定できた上で、現象を見せていけばこれほど大きな武器は無いということになるので、検査によって原因(瑕疵)の特定をすることが最善です。
2、程度裁判
雨が漏れている、カビが生えている、またひびや隙間があるなどの現象に対して、雨は滴程度なのか、バケツに溜まる程なのか、カビは何センチ四方に発生しているのか、ひびの長さは、幅は、など程度問題を争うものです。もちろん程度も重要な要素になりますが、問題は原因(瑕疵)であることを忘れてはいけないということなのです。
程度裁判はよく相手業者側の弁護士が責任の度合いを少しでも小さくしようとして主張してくることが多いのですが、裁判所から任命された専門委員や調停委員が誘導してくることもあります。いずれにしても重要なのは瑕疵の存在であり、程度問題はそれほど重要ではないと言うことです。これも原因の特定をしっかりとしていかなければ、程度の差に争点が移行してしまい、苦しい戦いになることが予測されます。 |